1999 Tommykaira R-Z [Nissan Skyline GT-R V-spec (BNR34)]
憧れだった1台
日本が誇る、スポーツカー“GT-R”。その第2世代となる“日産 スカイライン GT-R”の人気は登場から約40年経った今、日本だけではなく世界からも高い注目を集めている。
そんな第2世代の中でも、高い人気を誇るのが、BNR34だ。
そんなBNR34をベースに、京都に本拠を構えていたトミーカイラがコンプリートカーとして販売したのがこの、Tommykaira Rシリーズだ。
雪の残る東北で出会ったのは、トミーカイラがBNR34のカスタムコンプリートカーとして販売した、Tommykaira R-Zだった。
1988年8月、2.6L 直列6気筒 DOHCターボ“RB26DETT”という強力なエンジンを搭載し、電子制御トルクスプリット4WDの“ATTESA E-TS”と、4輪操舵機構“スーパーHICAS”を採用した全く新しいパッケージで登場した第2世代の初代“日産 スカイライン GT-R BNR32”。レースでの高い戦闘能力はもちろん、チューンドカーのベース車両として16年ぶりに復活したGT-Rは日本国内を一世風靡した。
その後、1995年に後継機となるBCNR33が登場。
1999年、第2世代の最終型となる、BNR34が登場した。
BCNR33で一度大柄になったボディーサイズを、ホイールベースで55mm、全長で75mmサイズダウンした一方で、高いねじれ剛性や高い空力性能が付与された。スタイリングもそれまでの2型に比べ筋肉質で肉感のあるグラマラスなボディーデザインは今もなお高い人気を誇る。
そんな第2世代のBNR34スカイラインGT-Rをベースに、チューニングを施したのはトミーカイラだ。トミーカイラは1987年R31型スカイラインをベースに日本で初めてとなる公認チューニングカー“M20”を製造・販売し、1995年には完全オリジナルのトミーカイラ ZZを販売。その手腕は国内外で高い評価を得ていた。
BNR34をベースにしたTommykaira Rシリーズは、365 hpを発生させるR、420 hpを発生させるR-Sと、530 hpを発生させるR-Zと大きく分けて3モデルが準備され、さらに各モデルごとV·Specベースも選択することができた。
エンジン、足回り、内装と全てに手が入っていることは大前提として、外装まで細やかで大胆なアップデートが行われている。
特に特徴的なのは、純正のラインを崩すことなく拡幅したフロントのブリスターフェンダーと、大きく切り開かれたフロントグリル、リアに回れば3枚刃のトリプルウィングが本気度を強調している。
トミーカイラの言葉を借りるなら、『本来ならこうであったろう硬派なスタイリングとパワー』に心奪われてしまった中の一人が現オーナーだ。雑誌で目にしてからTommykaira Rシリーズが欲しくなり探し始めたそう。どうせ手に入れるなら、最上位モデルというのはクルマ好きなら誰しもが思うことだが、数十台しか生産されていなかった最上位モデルのTommykaira R-Zに出会うことは難しいはずだが、たまたま出モノがあり、すぐに飛びついたそうだ。憧れの1台とのカーライフは一体どのようなモノだったのか。
「車検とか整備に出す以外でほとんど乗っていません。約15年持って、走行距離は2000kmぐらいですかね」
走るために生まれたはずの1台。しかし、東北の地で乗れる期間も限られ、天気が良く気持ちよく走れる日は決して多くはなかったのかもしれない。それでもディーラーで定期点検を受けナンバーも切らしていなかったのは、いつでも走りに行ける準備を整え、乗ることを楽しむために所有しているというオーナーの気概が伺える1台だ。