1982 Lancia Rally 037 Stradale
- 217台生産されたランチア・ラリーの第1号車
- 車体番号 ZLA151R00000001
- オリジナルパーツを極力残したレストアを実施
1982年に施行されたFISAのグループBのホモロゲーション取得に合わせて開発され、伝統的な名車“ストラトス”が打ち立てた「ラリーのランチア」のイメージを復活させたモデルとしても高い人気を誇る037ラリー。
しかし、この有名な“037ラリー”の名は正式名称ではなく、アバルトとの共同で行われたプロジェクトの開発コードだった“SE037”が広く認知されたことで、そう呼ばれることになった。正式名称は“ランチア・ラリー”で、そのベースはランチア・ベータ・モンテカルロである。当初“ランチア・アバルト・ラリー”というモデル名が予定されていたが「ラリーのランチア」の復権を強くアピールしたいという意図から“アバルト”の名前は最終的にモデル名からは外されることになった。
ベータ・モンカルロのモノコックをベースにトラス構造のチューブラー製のサブフレームを前後に配し、そこにエンジンとサスペンションを取り付ける構造を採用。
シャーシのデザインはジャンパオロ・ダラーラが担当している。
フェラーリのF1エンジンの設計主任も努めたアウレリオ・ランプレディが設計を担当した、縦置きミッドシップレイアウトで搭載される排気量1995ccの直4気筒DCHCエンジンは、スーパーチャージャーの過給によって最高出力205psを発生させる 1170kgという軽量なボデイには十分以上に刺激的なスペックを誇った。
生産台数は市販用のストラダーレと競技用のコンペティツィオーネを合わせて217台。
とても希少性の高いモデルとして今日もコレクターの間では高値で取引されている。
当個体はそんな“037ラリー”の中でもさらに特別な価値を秘めた1台。その車体番号はZLA151R00000001すなわち生産第1号車なのである。
なお2号車と3号車はクラッシュテストに用いられた記録が残されており、そうした意味でも生産第1号車の価値はさらに高まると言えるだろう。
1999年、イタリアン・ピエモンテ州南部の都市アレッサンドリアにあったランチア・ディーラー「AUTOPOOL RPRETE」にて購入。
購入時少なくとも10年以上動かされていない状態で、エンジンをはじめとした機械系にはフルオーバーホールを施す必要があり、またロッソコルサのエクステリアカラーを纏ったピニンファリーナの手によるボディにも埃がうず高く積もる状態だった。
非常に残念なコンデイションだった“00000001”の“037ラリー”はそのまま日本へと渡り、そこから実に18年もの歳月を掛けて日本のスペシャリストの下で可能な限りオリジナルのパーツを生かし、エンジン内部などのムービングパーツに関してもすべてフィアット製の純正パーツを取り寄せるなど丁寧なレストアが施されている。
2019年6月にレストアが完了。
オドメーターは、554kmを指すが、それまでのレコードは残されていないため実走行を保証することは出来ないが、内外装ともにとても丁寧に仕上げられたことが伺える佇まいの前では、それさえも気にならない、まさに“奇跡の1台”と言えるだろう。
※書類上オーナーは、ワンオーナー フルレストア前は登録されてなく現オーナーが最初