1965 Lotus Cortina Mk1
- およそ2800台のみが製造されたホモロゲーションモデル
- 良好なコンディション
- 木製のハンドル、シフトレバー
- ※走行するには修理が必要な車両となります。
車両解説
●およそ2800台のみが製造されたホモロゲーションモデル
当個体は、当時グループ2のホモロゲーションモデルとして、およそ2800台が生産された「ロータス コルチナ」。ボディにはシャーウッドグリーンのストライプをあしらった”ロータス コルチナ”らしいホワイトを纏う個体となる。
バンパー、モール等のメッキには大きな錆等は見受けず、手入れの行き届いたブラックレザーシートの他、木製のハンドル、シフトレバーを装備。
注意点として、当個体を走行させるには修理が必要となる。また、スミス製のメーターも約2万5千キロを指しているが、実際の走行距離は定かではない。しかし半世紀以上が経過したホモロゲーションモデルであるということを考えれば、比較的オリジナル度の高い良好なコンディションを維持している個体であると言えるだろう。
●ロータスとフォード
「セブン」と共にロータス初の量産モデルとなった「エリート」。最先端のFRPボディ、美しいデザインを備えたこのモデルは、当時大きな注目を集めた。しかし、製造に多大なコストを要した事を原因に、商業的には失敗作となってしまう。
この失敗に鑑み、創設者コーリン・チャップマンは、当時北米を中心に爆発的な人気を博していたライトウェイトスポーツに活路を見出そうとしていた。
時同じくして、フォード・イギリスは、米国の親会社と同様に、モータースポーツを軸に広報活動を行う経営方針に切り替える。しかし、それまで保守的な大衆車の製造を続けてきた同社は、スポーツカー設計に関する十分なノウハウを持っていなかった。
そこで広報担当だったウォルター・ヘイズは、豊富なレーシングノウハウを持つロータスに目を付ける。ロータスは「エリート」の後継である「エラン」のため「フォード・アングリア」のエンジンをベースに、コスワース協力のもとツインカムを搭載する新ユニットの開発を進めていたからだ。
これを搭載した最初のレーシングモデル「タイプ23」は、過酷なニュルブルクリンクのレースで無事完走する活躍を見せる。これを受けてヘイズは、ロータスの技術力の高さを確信。そして「コルチナ」ベースのホモロゲーションモデルの製造をチャップマンに直接依頼するに至った。
●元祖”羊の皮を被った狼”
ロータスは、フォードから提供された「コルチナ」のボディに徹底的なモディファイを施す。エンジンには、「エラン」と同じ1.6リッター直列4気筒DOHC「ロータスツインカム」を搭載。最高出力は105psを発揮し、そこにアルミパーツを使用した838kgの軽量ボディを組み合わせることで、驚異的なパワーウェイトレシオを獲得した。
サスペンションも専用設計を採用。足回りに関してもロータスのレーシングノウハウが遺憾無く注ぎ込まれ、コーナリング性能は飛躍的に向上した。
もちろんその走行性能はレースシーンに衝撃をもたらす。ジム・クラークがステアリングを握った1964年の「英国ツーリング選手権」のタイトル獲得を皮切りに、1965年のヨーロッパ、ベルギー、ニュージーランドと数々の欧州レースを席巻。ロータス、イギリス・フォードの名は、この「コルチナ」によってヨーロッパのGTレース界に広く轟いたのであった。
安価な大衆車であったコルチナを、技術の粋を集めてサーキットを疾走する獅子へと生まれ変わらせたロータス。後の「スカイラインGT-R」に影響を与えたと言われるこの元祖「羊の皮を被った狼」は、現在でも色褪せることはなく、その猛々しいオーラを放っている。当個体も、一度エンジンに火を入れれば、当時ライバルたちを屠ったツインカムの咆哮を再び響き渡らせてくれるだろう。