1969 DATSUN FAIRLADY 2000(SR311)
- レストア済み個体
- 快調に動作するU20型エンジン
- RSワタナベ8スポークホイール
- 社外ステアリング
車両説明
●元祖国産スポーツの最終モデル
当個体は1967年11月以降に製造された「フェアレディ 2000 SR311」後期型、所謂ハイウインドウスクリーンモデル。オドメーターは63,716kmを表示する。
フルレストア済みの個体となっており、幌周りには多少の擦れが確認できるが、概ね良好なコンディションが維持されている。外装の大部分にはワンオフで制作されたFRP製パーツが使用され、長期にわたって入念な修繕作業が行われた。
ホイールは、定番のRSワタナベの8スポークを装備。内装に関しては、ステアリングが社外品に交換されているが、シートやダッシュボード等のレザーには目立った傷等はない。
もちろん、搭載する2リッターU20型エンジンも内部まで入念なレストレーションが行われており、快調に動作する。一度火が入れば、日本モータースポーツ史の始まりを告げた号砲を感じることができるだろう。
●世界のスポーツカーを越えるために
国内において初の量産スポーツカーとして、DATSUNが送り出した初代フェアレデー。その後継として、欧州や北米のモデルに対抗できる運動性能を目指して設計されたのがこの2代目フェアレディだった。
2代目最初期モデルの「SP311」は最高出力71psを発生するセドリック用の1.5リッターエンジンを搭載する。すでにこのモデルからフェアレディは非常に高い運動性能を見せ、第一回日本グランプリで見事優勝。日本のスポーツカーの可能性を世界が認めた瞬間だった。
以降はモデルチェンジを繰り返し、次第に排気量をアップ。着実にその戦闘力を底上げしていった。
そしてその2代目フェアレディの完成形として1967年に登場したのがこの「SR311」である。排気量は2リッターまで拡大され、搭載するU20型エンジンは、初期型の実に2倍以上の最高出力150psを発生。その大パワーを受け止めるため、トランスミッションにはポルシェタイプの5速シンクロミッションが搭載された。車重わずか910kgのボディにハイパワーエンジンの組み合わせは、凄まじい運動性能に直結した。
しかしラダーフレーム、リアは従来通りのリーフサスペンションと、シャシ周りは従来の設計を継承していたため、その乗り味はまさに暴れ馬。圧倒的な速さを手に入れたものの、乗りこなすには、相当な技術が要求されたと言われている。
●一強時代を築いた『SR311』
「SR311」は、第4回日本グランプリに初めて投入される。先代モデルもレースで無類の強さを見せていたが、『SR311』の速さは別格だった。
レースは序盤からフェアレディの独走状態で、そのままワークスマシンが3位までを独占。そのあまりの速さから、以降の国内レースは事実上『SR311』のワンメイクレースと化す。この状態は後継であるフェアレディZが登場するまで続いた。
その速さは国内にとどまらず、世界をも巻き込んでいく。SCCA(スポーツカー・クラブ・オブ・アメリカ)選手権、モンテカルロラリーなど世界的レースで、優秀な成績を納め、フェアレディの名を世界に轟かせたのであった。
まさに日本のモータースポーツ史を作り上げたと言っても過言ではないフェアレディ。そのスピリットは、フェアレディZという形で今なお進化し続けている。そして今後も日本が誇るスポーツカーのアイコンとして君臨し、世界中のカーエンスージアスト達に愛されていく
ことだろう。