1984 Nissan Silvia JSS Race Car
- JSS参戦車両
- 1984年の開幕戦からインパルで参戦の北野元選手の車
- 東名スポーツにてレストア済
- 当時モノIMPULホイール
JSS(ジャパンスポーツセダン)は、スーパーシルエットと呼ばれたグループ5の流れを受けて、富士グランチャンピオンレースのサポートレースとして、1984年にスタートする。
JSSは市販車ベースとされているものの、改造範囲は当時人気を博したグループAより格段に広く、巨大なオーバーフェンダーやウィングの装着。エンジンも市販の仕様を活かしていれば良い、フルチューン仕様での参戦が認められていた。JSSはその後、1993年に全日本GT選手権の参加が認められたこともあり、GT300の前身とも言われている。
当個体は、インパル代表、日本一速い男こと星野一義選手が師と仰ぐ、第五回日本グランプリ覇者、北野 元選手が1984年に『#23 インパル・シルビアターボ』として、JSS開幕戦を皮切りに、参戦を続けていた車両そのものとなる。
その証拠に、レストア時に外装パーツを外す中で、当時JSS参戦車両のオーバーフェンダーでは空気抵抗が多い、という北野元選手の意向で、小さめのオーバーフェンダーを装着し参戦していた跡(後に他車と同様のフェンダーとなる)や、北野選手の車両のみが持つ、黒にラインの入った塗装跡が発見された。
発見時は、決して良いコンディションを保っていたわけではないが、ボディーワークや足回り全てをリフレッシュ。エンジンに関しては、東名スポーツにて、フルレストアが完工され、ボディーへの組みつけも東名スポーツで行われた。
完成時には元オーナーの意向により、北野選手が乗っていた黒をベースにしたカラーリングではなく、当時、同時にインパルから参戦していたもう一台のイナズマカラー(1986年、近藤真彦氏が使用)に変更されている。
一方で、内装には大きく手を入れず、当時の雰囲気を忠実に再現し、実際にレースで使用したIMPULホイールを装着するなど、元オーナーのこの車両に対するこだわりがみてとれる仕上がりとなっている。
同型のシルビアは都平健二選手により1986年には圧倒的な速さでチャンピオンになっており、日産のカタログにもこのイナズマカラーの車両が掲載されている。
ド派手なマシン、そうそうたる顔ぶれのドライバーが参戦し人気を博したJSS。
エンジンに関しても、始動確認が取れておりサイドマフラーから奏でる爆音は、カラーリングも相まって当時の世界観へ誘う、唯一無二の一台だ。