1993 Lancia Delta hf Integrale Evoluzione
- 細部までメンテナンスの行き届いた極上個体
- 正規輸入車
- 社外製マフラー
- カーボン製ミラー
- 純正ミラー付属
- シフトノブ、シフトカバー付属
車両説明
●デルタ愛が詰まった極上エボルツィオーネ
当個体は”デルタ”の中でもよりWRCマシンに近い外観を持ち、高いボディ剛性を持つ1993年式「HFインテグラーレ エボルツィオーネ」。最大出力210psを発生する4気筒DOHC2.0Lターボ16バルブエンジンを搭載したモデルだ。
この「デルタ」はコンディションが維持されているだけでなく、各部には前オーナーの気の利いたこだわりが垣間見れる。装着されているカーボン製ミラー、OZ製アルミホイール、社外製マフラーは、ボディカラーのホワイトに合わせて選定。クラシカルなデルタをモダンなスタイリングへとアップデートしている。
内装には状態良好なオリジナルシートの他、社外製シフトノブとカーボンパネルが取り付けられ、ここでもさりげないモディファイが行われている。また純正ミラーの他、シフトノブ、シフトカバーも付属する個体となる。
美しいコンディション、そしてツボをきっちりと押さえた各部のモディファイは、前オーナーの深いデルタ愛が溢れている。
●伝説の始まりは悲劇的な事故だった
「デルタ」の魅力を語る上で外せないのが、やはりWRCで作り上げた伝説だ。
今でこそラリーを象徴する一台となっている「デルタ」であるが、1979年のデビュー当初は、ごく一般的なハッチバックファミリーカーとして発売された。これは当時、爆発的な人気を得ていたフォルクスワーゲンの「ゴルフ」への対抗馬としてぶつけられたモデルでもあった。
しかしグループBで起きた悲劇的な事故をきっかけに、この「デルタ」がラリーシーンで日の目を見ることとなる。
改造範囲が広く認められ、ハイチューン競争が激化していたグループBは、かねてよりその安全性が懸念されていた。そして1986年のWRC第5戦、ランチアのワークスマシン「デルタS4」がコントロールを失い崖に転落。搭乗していたヘンリー・トイヴェネオンとナビのセルジオ・クレスト両名が命を落とす悲惨な事故となった。
これを機にWRCはグループBを廃止。それに代わり市販車ベースで改造範囲が狭められたカテゴリー「グループA」を新たに発足する。
各チームは規定に合わせたマシンを突貫で製作する必要を迫られ、数多くの問題を抱えることとなる。しかしその中で初戦から圧倒的な速さを見せた車があった。これが後に語り継がれることとなる”グラベルの王者”誕生の瞬間だった。
●未だ破られることのない前人未到の境地
こうして1987年に華々しいデビューを飾った「デルタ HF」は市販車をベースに、2リッターターボエンジンを搭載。駆動方式もFFからフルタイム4WDへと一新したスポーツモデルとして登場する。その後も他を圧倒する走りを見せつけ、初年度から13戦9勝という驚異的な強さを発揮した。
この活躍を受けたランチアは、翌年から改良を加えた初代「HF インテグラーレ」をWRCに投入。そしてこの「エボルツィオーネ」が登場する1992年までバージョンアップを重ね続け、実に6年もの間、絶対的な王者としてWRC不動の地位に君臨したのであった。
この6連覇記録はいまだに破られておらず、「ランチアデルタ」が”グラベルの王者”と呼ばれ続けている所以となっている。
●巨匠ジウジアーロによるボディデザイン
デルタの魅力はもちろんWRCで作り上げた神話だけではない。
先述の通り「ゴルフ」への対抗馬として開発がスタートしたこのモデルは、同モデルをデザインした巨匠工業デザイナージョルジェット・ジウジアーロが率いるイタルデザインにより設計された。
「デルタは」同時期、同デザイナーにより、似たコンセプトのもと製造されたモデルではあったものの、そこはジウジアーロ。はっきりと差別化を図る斬新なデザインを施した。「ゴルフ」と共通のハッチバックスタイルは踏襲しつつ、より厳しいデザインへとシフト。内装にはアルカンターラを用いることで、高級コンパクトカーという新たなコンセプトを打ち出したのであった。その美しさは多くの自動車ファンを魅了し、1980年のヨーロッパカーオブザイヤーを受賞する。
そしてこのスタイリングは、WRC神話と合流し、唯一無二のものへと進化を遂げていく。その答えが、当モデル「エボルツィオーネ」だった。WRCマシンを彷彿とさせる大型でレーシーなブリスターフェンダーを装着し、ボディの至るところには空冷ダクトが備えられた。
さらに同時にボディ剛性についても見直しが行われ、ファミリーカーから名実ともにラリーカーへと進化したのだった。
ラグジュアリーなファミリーコンパクトカーの魅力を残しつつ、スパルタンなラリーマシンに変身を遂げた「デルタ」はまさにラリーファン憧れの一台。昨今の著しい価格の高騰ぶりを見ても、この車に向けられる羨望の眼差しは、より一層強まっていくことだろう。