1994 Porsche 928 GTS
- 928の完成形、最終型のGTS
- 2,904台が生産された中の1台
- 日本正規輸入車のMIZWAモノ
- 走行距離僅かに9,571km
- 徹底されたオリジナルコンディション
- 5.4L V8 NAエンジンは、350hpを発揮
- 完全室内保管
- ミントコンディション
1977年、911に代わる新たなフラッグシップとして鳴り物入りで登場した928シリーズ。その長きにわたる進化の旅路の最終到達点であり、熟成の極みに達した最高峰モデルが、この1992年から1995年まで生産された「928 GTS」である。ポルシェ伝統のRRレイアウトではなく、50:50の理想的な前後重量配分をもたらすフロントV8+リアトランスアクスルというパッケージは、長距離を高速かつ優雅に駆け抜けるための「究極のGTカー」として、当時のエグゼクティブたちを魅了した。
GTSの最大のトピックは、その官能的かつ強力なパワーユニットにある。排気量はシリーズ最大となる5.4Lまでスープアップされ、最高出力350hp、最大トルク500Nmを発揮。大排気量NA(自然吸気)でしか味わえない、踏み込んだ瞬間から湧き上がる極上のトルクと、どこまでも加速し続けるかのようなV8の滑らかさは、ドライバーに至福の時間をもたらす。外観においても、一目でそれと分かるワイドなリアフェンダー、専用の17インチ・カップホイール、そして左右を繋ぐ一本のレッドテールレンズが、ポルシェの頂点に君臨するモデルとしてのただならぬ威風を放っている。
本個体は、わずか2,904台のみが世に送り出された928 GTSの中でも、完全に時が止まったかのような「奇跡」を体現している。
リアウィンドウに貼られた『MIZWA』のステッカーと、日本仕様のみに装着されていたフロントのオーバーフェンダー、そしてオプションコードの『C08』が、日本のポルシェ史において特別な意味を持つ名門「ミツワ自動車」による国内正規輸入車であることを物語る。これほど明確な血統を持ちながら、オドメーターが示す走行距離は驚異の9,571km。多くの928がその卓越したGT性能ゆえに過走行になり、市場で消費されていった中、これほどの超低走行で生き残ってきたサバイバーは、世界的に見ても極めて稀である。
完全室内保管を徹底されてきたその恩恵は、車両の隅々にまで行き渡っている。直射日光や湿気によるダメージを受けやすい本革仕立てのインテリアやダッシュボード、スイッチ類は、新車時のタイトな質感をそのまま維持。オプションで装着されたサンルーフも完全に実動しており、外装の塗装面も目立った衰えを見せず、下回りにもサビなどは見受けられない。極め付けは、新車のような輝きを放つエンジンルームのインシュレーターが出荷時のままだというのだから、前オーナーの保管状況の良さには脱帽するほかない。まさに「ミントコンディション」の言葉がこれほど相応しい個体はないだろう。
近年のネオクラシック・ポルシェのブームにおいて、911空冷モデルに続き、この928 GTSの歴史的価値とコレクション性は世界中で再評価され、オークションシーンでも明確に別格の扱いを受け始めている。ミツワの血統を携え、ポルシェが最もコストを掛け、最も贅沢に作り上げたV8フラッグシップの、文字通りのタイムカプセル。この遺産を引き継ぐことは、ポルシェの黄金期そのものを最高の状態でガレージに迎えるという至高の特権である。

















































