1989 Porsche 911 Turbo (type 930)
- ミツワ自動車正規輸入個体
- 5速MT搭載最終型
- 走行距離12,307km
- 極上コンディション個体
- エンジンマッチング確認済み
商品説明
●ポルシェがついに5速ミッション採用に踏み切った930の完成形
当個体は930シリーズの中でも最も大きなマイナーチェンジが行われた89年最終型、5速ミッションを搭載したモデルである。
それまで「911のハイパワーさえあれば4速で十分である」としていたポルシェだったが、本来のところ採用されていたサーボシンクロシステムがそのパワーに耐えられないというのが、事実だったようだ。
しかし最終型にしてこの問題を克服。G930型4速MTから、ゲトラグ製G50型5速MTの採用が可能となり、930ターボのパワーを余すところなく路面に伝達することを可能とした。
●日本のポルシェ史を築き上げてきたミツワ正規輸入個体
本車両の希少性をあげているのは、日本におけるポルシェ史を支えてきたディーラーであるミツワ自動車から正規輸入され、エンジンマッチングも確認されている個体であるということだ。
ミツワ自動車は、1951年から924シリーズに始まり、968シリーズまで、国内におけるポルシェの知名度向上に貢献し続けてきたことで知られている。
その証明としてリアウインドウには、ミツワ自動車のステッカーが貼られており、初年度登録も89年と製造年とも一致している。
内装は、オールブラック。ダッシュボード、メーター類もオリジナル状態を維持し、非常に美しいコンディションを保つ。オドメーターは、12,307kmを指し示している。
●乗り手を選ぶその暴力的なパワー
930ターボの最大の魅力は、やはりポルシェ伝統の空冷水平対抗エンジンに、そのコンパクトなボディと不釣り合いな大パワーを発揮するターボチャージャーを組み合わせたことにある。
930発表当時の仕様は3.0Lにエーベルスペヒャー製ターボを組み合わせて、260馬力を発揮。この時点で市販モデルであっても実測250km以上のスピードをマークした。
さらに78年以降のモデルチェンジにより3.3Lにボアアップ、圧縮比7.0とKEジェトロに過給圧0.8バールのKKKターボを装着し、300psものパワーを発揮し、その過激さに磨きを掛けたのである。当個体には日本の排ガス規制に合わせ、3.3L最高出力269psに設定されていてはいるものの、その爆発的な加速感は損なわれていない。
軽量ボディ、RRレイアウト、そしてこのパワーの組み合わせは、他を寄せ付けない運動性能を発揮した。しかし、その操縦は困難で、熟練したドライバーでなければ乗りこなすことができないと言われている。
●パワーアップに伴ってリデザインされたボディ形状
このエンジンパワーを受け止めるため、もちろんボディも作り直された。初代のナローボディから、大口径タイヤを収めるため、前後ともフェンダー部分を拡張。
その大きく盛り上がったフェンダーデザインは、これまでのクラシカルなポルシェの美しさを残しながらも、より攻撃的でマッスルな印象へと進化した。また大型なスポイラーも、スポーティさにより磨きをかけ、この車が”ポルシェターボ神話”を作り上げた立役者であることを強く意識させてくれる。
加えて930登場前からアメリカ市場に合わせて備えられていたビッグバンパーとの組み合わせで、その迫力は一層強調されており、今のポルシェ像を確立した1台と言えるだろう。
History
●圧倒的な速さを見せたカンナムレース
1970年代ポルシェはすでにル・マン24時間耐久レースで、圧倒的な速さを見せていた。そのあまりの強さから、ル・マン主催者側はレース展開のマンネリ化を懸念。新レギュレーションで排気量を規制することで、ポルシェをルマンから締め出してしまったのだ。
そこでポルシェは、水平6気筒エンジンにツインターボを搭載した917を開発。ポルシェは同社初となるターボマシンをカナディアン-アメリカン・チャレンジカップ(カンナムカップ)に投入した。そのエンジンパワーは推定で1,100馬力を発生したと言われている。
出場するや否や、この917は怪物のような強さを見せ、全戦優勝という信じがたい記録を打ち立てた。ポルシェはこの優れたターボ技術を、すぐさま市販車にフィードバック。そうして生まれたのが930ターボだったのである。
●華麗なルマンへのカムバック
レースでの活躍も相まって、ポルシェ930ターボは、ポルシェの期待以上の大ヒットとなった。
そして1976年、ポルシェはこのターボエンジンを搭載した渾身のマシン「936」を引っ提げて再びル・マンへと乗り込む。
結果は見事総合優勝を獲得。さらには翌年も勝利を掴み、ポルシェの強さを改めて世界に知らしめたのである。ここからポルシェはターボ技術にさらなるブラッシュアップを加えていく。そして来たる1982年、伝説のマシン「956」が登場する。
「956」の前では、他メーカーのマシンはまるで赤子同然だった。その年のル・マンでは全てのクラスで1位から5位までを独占。特別タイトルも全てその手に収め、最速の称号を欲しいままにした。そしてポルシェは実に7年間もの間、ルマンにおける最速の地位に君臨し続け、ポルシェの"ターボ神話"を築いたのである。
●未来都市でも圧倒的な存在感を放つ美しさ
伝説の起源となった名車、「930ターボ」の魅力はもちろんその走行性能の高さだけではない。901ナローのクラシックな美しさはそのままに、主要市場の米国安全基準に合わせて備えられたビックバンパー、そして大パワーを受け止めるワイドボディは、ポルシェにタフで雄々しい印象を与えた。
スポーツカー史においてカリスマ的な美しさを放ち、愛され続ける930ターボであるが、この文脈はあらゆるコンテンツの中でも見ることができる。
記憶に新しいのは2020年に発売され、世界的大ヒットとなったビデオゲーム『サイバーパンク2077』での登場だ。本作は2077年の未来都市「ナイトシティ」を舞台としたSF作品。作品内のキャラクター、キアヌ・リーブス演じる伝説のロッカーボーイ、ジョニー・シルヴァーハンドの愛車として、ストーリーをドライヴさせる重要な役どころで登場する。
本作のクリエーター陣は、リーブスが演じるヒーロー像と合致するマシンは、時代を超越した美しさを持つ930ターボ以外有り得なかったと語る。
過去と現在、そして未来とが無秩序に入り乱れる”サイバーパンク”というサブジャンルの中で、930ターボの美しさはより一層際立ち、畏敬の念をも抱かせる領域へと昇華させたのである。
●その美しさは加速し続ける
メカニズム、そしてルックス共に自動車史において一つの時代を築き上げた、ポルシェ930ターボ。その時の流れを超越した芸術的な存在は、現代、そして未来までその輝きをより一層強めながら、加速し続けていく。