「宇宙」を意味する「コスモ」というモデル名が与えられた世界初の2ローター・ロータリーエンジン搭載車、「コスモ・スポーツ」。1963年10月の東京モーターショー（当時は全日本自動車ショウ）でプロトタイプが公開されたのち、連続高速耐久テストを含む300万km以上にも及ぶ開発・走行テストを経て、1967年5月についに発売が開始された。

コスモ・スポーツのカタログに謳われた、総排気量491cc x2、最高出力110ps、最高速185km/h、0→400m加速16.3秒という当時の国産スポーツカーとしては驚異的なスペックは、低く流線的な新時代の到来を感じさせるスタイリングも伴って多くのファンを魅了した。小型で高出力というロータリーエンジンの長所を生かしたパッケージングをもって、コスモ・スポーツは当時のスポーツカーとしては他に類を見ない月間30台前後というセールスを達成したのである。

当個体は後期型（1968年に改良。エンジンはそれまでのL10AからL10Bに型式変更され最高出力は従来の110psから128psへと向上）のモデル。オーバーホール証明書をはじめ、点検整備記録簿が多く残されている。エンジンはフルレストアされており、現在でも当時の走りを楽しめるコンディションが保たれている。外装と内装に関してほとんどの部分がオリジナルの状態のまま保管されており、シートにやや経年劣化による傷が見受けられるが、年式を考慮すると非常に綺麗な状態である。