Honda Vamos
- 希少なフルホロモデル
- 製造台数2530台の中の1台
- 全塗装、幌張替え済み
”現代にはない車”という言葉がこれほどまでに似合う車両はこの初代「ホンダバモス」以外ないだろう。小さなボディにはドアや屋根が備えられておらず、乗員と車外を隔てるのはドアの代わりに備えられたガードバーとフロントウィンドウだけ。運転席から少し目を落とせばもうそこは道路という、前衛的なルックスが強い存在感を放つ。
しかし1973年、保安基準の改正・強化をクリアできず、生産終了を迎える。生産期間はわずか3年、製造台数も2,530台にとどまり、現存する個体は少ない。
また「バモス」には2人乗りモデルと4人乗りモデル、そして上部全体を覆う幌を備えたフルホロタイプの3種類があった。
そのなかでもフルホロモデルの生産台数は少なく、この個体の希少性は非常に高いと言えるだろう。
ミッションはマニュアル4速。エンジンは354cc空冷2気筒OHCが2列目運転席の下に設置されている。所謂ミッドシップレイアウトとなっている点がユニークだ。顔つきも特徴的で、飛び出したカエルの目のようなヘッドランプの間にスペアタイアが収まったデザインは、小さなボディと相まってとても可愛らしい印象を与えてくれる。一方内装を見れば、金属剥き出し、簡素なメーターが並ぶダッシュパネルなど、さながら軍用車のようで、スパルタンな魅力も併せ持つ。
高いオリジナル度をキープする個体だったが、生産から50年以上経過し、コンディションは悪くなかったものの、年式相応のヤレが見受けられていた当個体を、純正同色で再塗装。幌も新しいものに交換されている。
また、フロントシートは、ベンチシートからセパレートの合成皮革シートに交換されている。また、リアのキャンバスシートは、オリジナル然としていたが、フロントシート、全塗装した艶のあるボディーとのマッチングも考え、フロントシート同様の合成皮革に張替えが行われたばかりとなる。
「バモス」はそのデザインもさることながら、レジャーにはもちろん、現場作業まで、そつなくこなせる車両をめざして設計されている。現代の交通事情には、少しミスマッチな部分もあるかもしれないが、「乗る人のアイデアによって用途が無限に広がる車」というキャッチコピーは、現代にも通用する1台となる。
【車検証上のスペック】
6ナンバー・軽自動車・貨物・自家用・キャブオーバ
乗車定員 : 2(4)名
最大積載量 : 350kg
車両重量 : 540kg
車両総重量 : 1,000(760)kg
長さ : 299cm 幅 : 129cm 高さ : 162cm
総排気: 0.35L
燃料の種類 : ガソリン