1974 FORD ESCORT Mk.1 ESTATE
- ラリーでの活躍で人気の第一世代エスコート
- ポルトガル生産モデル
- 内外装、機関系ともに非常に良好なコンディション
フォードの欧州部門(通称、ヨーロッパ・フォード)が1967年から2002年まで生産した小型大衆車のエスコート。今回新たに出品される個体は、1968年から1974年まで販売された第一世代(Mk.1)の2ドア・エステート・モデルで、モデルイヤーはMk.1最終年式の1974年式となる。
Mk.1こと初代エスコートは1967年の年末にイギリスで発表された。駆動方式はFRで「ケント・ユニット」と呼ばれる直列4気筒エンジン(1100ccと1300ccのラインナップ)を搭載し、ラック・アンド・ピニオン式のステアリングを装備した。
当初はイギリスのみでの生産だったが1970年からはドイツでも生産を開始。さらにはポルトガルにも生産ラインが作られMk.1の末期モデルにはリスボンにあるラインでの生産モデルも存在する。当個体はそのポルトガル生産モデルであり、エンジンベイに取り付けられた製造プレート、フロントバンパーの上部に残された当時物のライセンスプレートがその事実を物語っている。
フォード・エスコートのイメージといえばラリーカー、という人は多いはず。Mk.1は1970年の「ロンドン – メキシコ・ワールドカップ・ラリー」での優勝をはじめ、数多くのラリーで勝ち星を挙げ、その後の「ラリーのフォード」のイメージをヨーロッパのマーケットに強く印象付けることに成功した。
当個体は非常に希少な2ドアのエステート・モデル。当時の流行だったコークボトルラインで描かれたリヤセクションのスタイリングは、今見ても洗練された印象を与え、当時のエステート(ワゴン)の実用重視なイメージとは一線を画す、数クラス上のシューティングブレーク的な通好みの優雅な存在感を示す。
コブラやパンテーラといったいわゆる“スーパー・フォード”の第一人者の手で3年ほど前に日本へと輸入され、その前はオランダのスペシャリストの元で丁寧なレストアを受けた個体となる。マルーンの塗装、各部メッキパーツ類、インテリアに至るまで非常に良好な状態を保っており、1100ccのケント・ユニットも好調をキープ。4速MTを駆使してのドライブは決して速くはないが、それでもコンパクトかつ軽量なボディ、そして名ラリーカーの兄弟という素性の良さもあって、現代の視点で見ても十分にファンな走り味を披露してくれる。
日本にはおそらくこの1台のみが存在すると言われるエスコートMk.1の2ドア・エステート。日常のアシとしても十分に耐える、おすすめの1台である。