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2019/07/27 SAT

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1988 DUCATI 851 RACING (851 KIT)

1988 DUCATI 851 RACING (851 KIT)

  • - ドゥカティ初の水冷4バルブエンジンを搭載したシリーズ
  • - 初期型(1型)の851は、1988年の1年間のみ販売
  • - ホモロゲーション資格獲得のためのレース仕様851キット(RACING)は限定207台
  • - 外装はイタリア国旗の赤白緑の3色に塗り分け(トリコロール)
  • - 日本の正規輸入元であった村山モータース株式会社にて販売
  • - 完全に新車の状態で31年間保管

それまでの750F1に代わる次期旗艦車種を模索していたドゥカティは、1985年頃から開催の兆しがあったスーパーバイク世界選手権への出場を見据えて、新規車種の開発を始める。

この新車種では、レースでの成功が最重要課題とされた。ドゥカティはこれまでも、レースでの成功を販売成績に繋げてきた実績が、いくつもあったからである。そして新車種には、当時の主任技師ファビオ・タリオーニの右腕だったマッシモ・ボルディ(後の主任技師)が構想していた水冷4バルブ、燃料噴射という、ドゥカティにとって新機軸となる機構を盛り込んだ、新世代エンジンが搭載されることとなった。

最初の試作機は、1986年に登場した750F1の「パンタエンジン」を基とした、レース用車両である。排気量こそ748ccながら、水冷4バルブ化されたエンジンを搭載するこのレース用車両は、初戦となる1986年のボルドール24時間耐久レースでこそ15時間目にリタイアという成績であったが、その後も開発を重ね、851ccまで排気量を拡大、1987年のデイトナBOTTレースにおいて優勝。そして同年のミラノショーにて試作型が発表され、翌1988年より販売が開始された。

851が販売開始された1988年より開幕のスーパーバイク世界選手権に、ドゥカティは早速851で参戦する。初年度第一戦から優勝を飾るという素晴らしい滑り出しを見せ、徐々に車両の改良を重ねながら速さを増していき、1990年に初の年間優勝、それから1992年まで3年連続で年間優勝を成し遂げるなど、素晴らしい成績を打ち立てる。そうしたレース活動を通じ、851とその発展型の888は開発と改良が続けられ、そこからもたらされた結果を市販車へも反映、年を追うごとに各部に変更が加えられた。そして1994年には、レースでの更なる戦闘力を求めて、エンジンと車体の双方を全面的に刷新した後継車種916が登場、851シリーズはその役目を終えて、販売を終了した。

初期型851は、ドゥカティ史上、水冷4バルブエンジンを搭載する初のシリーズで、レース活動を見据えて開発された同社の新たな旗艦車種でもあり、そのエンジンや車体には多くの新機構が盛り込まれた。

エンジンは水冷4ストロークデスモドロミックDOHC4バルブ90度V型2気筒という、ドゥカティ伝統の「Lツイン」でありながら、新機構を多く盛り込んだものとなっている。特に、コスワース社の助言を得てDOHC4バルブ化されたシリンダーヘッドは、ただでさえ複雑になりがちなデスモドロミックでマルチバルブ化に成功したという点で、ドゥカティのその後の進路を方向づけたともいえる。また、当初750F1のものを流用していたクランクケースについては、開発途上で強度不足などの問題が判明し、新たに高強度のクランクケースが新造された。この新造クランクケースのお陰で、従来では5段が限界だった変速機を6段まで搭載可能となり、後の排気量拡大にも対応できた。吸気方式には、当時オートバイではまだ珍しかった電子制御式燃料噴射をいち早く採用、これもドゥカティ初採用の機構として、851シリーズの特徴となっている。排気系は、十文字形2-1-2の集合方式が採用された。

車体にも、多くの新機軸が盛り込まれた。フレームは、形式としては750F1と同じ鋼管トレリスフレームながら、トラスの組み合わせ方を刷新し、剛性が向上している。なお、シートレールはメインフレームとは別体式とされる。サスペンションは前側に41.7mm径のマルゾッキ製正立式を採用、後ろ側もマルゾッキ製の全調整式が採用された。後ろ側は、ショックユニットをフルフローティングマウントとした、ベルクランク型アッパーリンク式が採用された。なお、このベルクランク自体とそれをスイングアームへ連結するヨークには調整機構があり、ショックユニットとは別に、車高やリンク比を調整できるようになっている。

初期型(1型)の851は、1988年の1年間のみ販売された。公道仕様の851ストラーダ(Strada)は300台限定の生産で、その他にホモロゲーション資格獲得のためのレース仕様851キット(レーシング)が、限定207台として存在した。

初期型851のエンジンは、吸排気バルブがそれぞれ吸気32mm径に排気28mm径、シリンダーボア92mmにピストンストローク64mmとショートストローク型で排気量851ccとされ、圧縮比が10.4:1で最大出力は102ps、最大トルクは8.7kg-mとされた。ウェーバー・マレリ製の燃料噴射は50mm径スロットルボディと1気筒あたり2個のインジェクターを持つ。また、冷却水経路の一部にフレームを利用するのも1型の特徴。

車体については、キャスター角27.5度を持つフレームは銀色に塗装され、メインスパー中ほどには、ねじれ剛性を高める目的で、左右を繋ぐ補強パイプが設けられていた。カウルや燃料タンクなどの外装は、塗色がイタリア国旗の赤白緑の3色(トリコロール)に塗り分けられた。なお、カウルは後年式よりやや大柄で、アルミ製の燃料タンクも後年式よりやや大柄、容量は22Lとされた。ブレーキは前後ともディスクブレーキ、前側はオフセット量の多い750F1系の280mm径のフローティング式ダブルディスクにブレンボ製同径対向4ピストンキャリパー、後ろ側は260mm径のフローティング式シングルディスクにブレンボ製対向2ピストン式キャリパーが、それぞれ採用された。車両乾燥重量は180kgとなっている。

851キット(レーシング)は、レース出場のためのホモロゲーション車種という性格もあって、一般に市販された851シリーズで唯一の、保安部品を備えないレースベース車となった。

851キット(レーシング)では、エンジンは、吸気、排気ともレーシングAカム(別名SPカム)に変更や、圧縮比が10.6:1、マフラーはヴェルリッキ製ブラッククロームメガホンタイプを装着し、最大出力が121psまで引き上げられた。車体では、前後17インチのMARVIC社製マグネシウムホイールを採用し、タイヤは前輪12/60-17に後輪18/67-17のミシュランスリックタイヤを採用。それに合わせ、専用のフェンダーが取り付けられている。スイングアームは、下側に補強ブリッジが追加された高強度のヴェルリッキ社製、フロントには専用ステアリングダンパーが備わっている。なお、車両乾燥重量は175kgと、ストラーダより5kg軽量、最大出力は実に21psも高められている。

計器類はレースベース車ということもあり、スピードメーターは備えておらず、コクピットにはレブカウンターと水温系のみが並ぶ。ヘッドライトとハンドルスイッチは取り付けられているが、配線はされていない。メインハーネスもストラーダとは異なり、完全にレース専用設計となっている。

ボディでは、ストラーダではナックル部分にウィンカーとバックミラーが装着されているが、レーシングでは専用のナックルカバーが装着されている。また、シートのストッパークッションも、レーシング専用となっている。

当個体は、当時正規輸入元であった村山モータース株式会社にて販売され、新車状態で、燃料、冷却水を完全に抜き取り、完全保存状態で31年の間、室内保管されてきた。人間が住む環境で保管されていたため、色あせはもちろん、素材、ラバー系、塗装、メッキの劣化もほとんど見られない。

これ程素晴らしい新車コンディションの851RACINGは、世界中探してもまず存在しないだろう。

LOT NUMBER17

¥6,000,000 -
¥7,200,000

Frame No. ZDM851S-850129
Mileage 0km