株式会社BINGO

2023/05/22 MON - 2023/05/28 SUN

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Collection Car Auction - Collection No.18-

1989 Lancia Delta HF Integrale 8V (16V Conversion)

  • 16バルブエンジンへと換装済み
  • FRP製フード
  • アクリル製リアウィンドウ
  • Wilwood製ブレーキローター
  • 溶接ロールバー装備
  • 社外マフラー

車両解説

●WRCを彷彿とさせるモディファイ

WRCで圧倒的な速さを見せ、前人未到の実に6年間もの間王座に君臨し続け、”グラベルの王者”と言う異名をほしいままにした「ランチアデルタ」。

当個体は、そのWRCでのデルタの活躍を強く意識したモディファイが施されている。

エンジンは8バルブから16バルブエンジンへと載せ替えが行われ「16V」仕様となり、インコネル素材のエキゾーストマニホールド、強化燃料ポンプなどを装備。オドメーターは77,840kmを指す。またエンジンの始動は確認しているものの、10年ほど保管されていた車両となるため、実際に走行するには整備が必要となるだろう。

外装はレッドにステッカーチューンが施され、「16V 」がサンレモ・ラリーでデビューウィンを飾った時の「赤マルティ二」カラーを彷彿とさせるスタイリングとなっている。

フロントフードはFRP製、リアウィンドウはアクリルへと変更。足回りは、車高調整式ショック、ウィルウッド製ブレーローター、キャリパーに換装され、運動性能を引き上げている。

そして極め付けは、競技車両さながらにスパルタンな使用となっている内装だ。車内は強固なロールバーが溶接され、トランクカーペット類、リアシートはキャンセルされ、高剛性と軽量化が測られている。シートは運転席、ナビシート共にSparco製フルバケットとなっており、6点式シートベルトまで装備されている。

メーター周りもカーボンパネルを用いられて非常にストイックなインテリアに仕上げられている。外装からでもその本気度は十分伝わるが、運転席からの眺めもまさにWRCカー。一度乗り込んでエンジンに火を入れれば”グラベルの王者”の風格を堪能できるだろう。

●伝説の始まりは悲劇的な事故だった

「デルタ」の魅力を語る上で外せないのが、やはりWRCで作り上げた伝説だ。

今でこそラリーを象徴する一台となっている「デルタ」であるが、1979年のデビュー当初は、ごく一般的なハッチバックファミリーカーとして発売された。これは当時、爆発的な人気を得ていたフォルクスワーゲンの「ゴルフ」への対抗馬としてぶつけられたモデルでもあった。

しかしグループBで起きた悲劇的な事故をきっかけに、この「デルタ」がラリーシーンで日の目を見ることとなる。

改造範囲が広く認められ、ハイチューン競争が激化していたグループBは、かねてよりその安全性が懸念されていた。そして1986年のWRC第5戦、ランチアのワークスマシン「デルタS4」がコントロールを失い崖に転落。搭乗していたヘンリー・トイヴェネオンとナビのセルジオ・クレスト両名が命を落とす悲惨な事故となった。

これを機にWRCはグループBを廃止。それに代わり市販車ベースで改造範囲が狭められたカテゴリー「グループA」を新たに発足する。

各チームは規定に合わせたマシンを突貫で製作する必要を迫られ、数多くの問題を抱えることとなる。しかしその中で初戦から圧倒的な速さを見せた車があった。これが後に語り継がれることとなる”グラベルの王者”誕生の瞬間だった。

●未だ破られることのない前人未到の境地

こうして1987年に華々しいデビューを飾った「デルタ HF」は市販車をベースに、2リッターターボエンジンを搭載。駆動方式もFFからフルタイム4WDへと一新したスポーツモデルとして登場する。その後も他を圧倒する走りを見せつけ、初年度から13戦9勝という驚異的な強さを発揮した。

この活躍を受けたランチアは、翌年から改良を加えた初代「HF インテグラーレ」をWRCに投入。そして「エボルツィオーネ」が登場する1992年までバージョンアップを重ね続け、実に6年もの間、絶対的な王者としてWRC不動の地位に君臨したのであった。

この6連覇記録はいまだに破られておらず、「ランチアデルタ」が”グラベルの王者”と呼ばれ続けている所以となっている。

●巨匠ジウジアーロによるボディデザイン

デルタの魅力はもちろんWRCで作り上げた神話だけではない。

先述の通り「ゴルフ」への対抗馬として開発がスタートしたこのモデルは、同モデルをデザインした巨匠工業デザイナージョルジェット・ジウジアーロが率いるイタルデザインにより設計された。

「デルタは」同時期、同デザイナーにより、似たコンセプトのもと製造されたモデルではあったものの、そこはジウジアーロ。はっきりと差別化を図る斬新なデザインを施した。「ゴルフ」と共通のハッチバックスタイルは踏襲しつつ、より厳しいデザインへとシフト。内装にはアルカンターラを用いることで、高級コンパクトカーという新たなコンセプトを打ち出したのであった。その美しさは多くの自動車ファンを魅了し、1980年のヨーロッパカーオブザイヤーを受賞する。

そしてこのスタイリングは、WRC神話と合流し、唯一無二のものへと進化を遂げていくWRCマシンを彷彿とさせる大型でレーシーなブリスターフェンダーを装着し、ボディの至るところには空冷ダクトが備えられた。

さらに同時にボディ剛性についても見直しが行われ、ファミリーカーから名実ともにラリーカーへと進化したのだった。

ラグジュアリーなファミリーコンパクトカーの魅力を残しつつ、スパルタンなラリーマシンに変身を遂げた「デルタ」はまさにラリーファン憧れの一台。昨今の著しい価格の高騰ぶりを見ても、この車に向けられる羨望の眼差しは、より一層強まっていくことだろう。

LOT NUMBER3

SOLD
AFTER AUCTION

Chassis No. ZLA831AB000456559
Mileage 77,840km