初代ホンダNSX （初期型／NA1）のスペシャルモデルとして1992年11月にデビューした“Type-R”。通称“92R”と呼ばれるこの和製リアルスポーツには、ベースグレードのNSXと同じV型6気筒3.0ℓ DOHC VTEC（C30A型）が搭載されるが、クランクシャフトやピストン、コネクティングロッドの重量やバランス精度を手作業で高めるなど、レーシングエンジンと同等の精密な組み立て工法が用いられている。

またボディへのこだわりも特別で、もともと軽量なNSXのアルミボディに対して、バンパーおよびドアビームのアルミ化、エンジンメンテナンスリッドのアルミメッシュ化、RECARO製のフルバケットシート、MOMO社製ステアリング、チタン製シフトノブ、遮音材の削減など、数十項目に及ぶ軽量化を図ることで、ベースグレード比で約120kgという軽量化を実現している。

当個体は1995年式のNSX Type-R（通称：92R）で、車体番号はNA1-1300280、ボディカラーはグランプリホワイト（NH565）、シートカラーはレッドとなる。注目すべきはその走行距離で、オドメーターの表示は僅かに850km。ほぼ新車といっても過言ではないコンディションを保っている。約３年という短い期間の中で464台が生産された「Type-R」の中でも、これほど少ない走行距離の個体は非常に希少な存在だといえるだろう。