1999 Tommykaira R-Z [Nissan Skyline GT-R V-spec (BNR34)]
- トミーカイラのフルコンプリート車
- シリーズ最上位グレード530psを発揮するR-z
- 十数台しか生産されなかった中の1台
- BNR34 GT-R V-specベース
- 走行距離 20,000 km台
憧れだった1台
1987年R31型スカイラインをベースに日本で初めてとなる公認チューニングカー“M20”を製造・販売したトミーカイラ。1995年には完全オリジナルのトミーカイラ ZZを販売。その手腕は国内外で高い評価を得ていた。
そんなトミーカイラが、本来BNR34が目指していたであろう、硬派なスタイリングと、低速から全域でピックアップをそこないアクセルレスポンス、強化された出力を受け止める足回りを具現化すべく作り出したのが、BNR-34をベースにしたのがRシリーズ。
Rシリーズは、365 hpを発生させるR、420 hpを発生させるR-sと、530 hpを発生させるR-zと大きく分けて3モデルが準備され、さらに各モデルごとV·Specベースも選択することができた。
今回の車両は、最上位グレードとなる、R-z。
さらに、ベースはV-specが使用されている。
生産台数はとても少なく、十数台のみが生産されただけと言われている。
まず目につくのは、通常のBNR34よりも大きな開口部を有するフロントマスクと、元来筋肉質なエクステリアをさらに拡幅した専用のブリスターフェンダーだろう。
冷却機能を第一に考えられたエアダクトや、むき出しに装着されたレーシングタイプのインタークーラー、整流効果も期待できるフロントスポイラーから、流れるように繋がる大きく張り出したブリスターフェンダーは、ただの見せかけではないことを主張している。
後方に目を無ければ、アルミステーに装着された大きな2段のウイングに、角度調整機能のついたフラップが装着された“トリプルウィングスポイラー”が、サーキット走行も前提としたチューニングであることを意識させる。
ボンネットを開ければ、ぱっと見からただモノではないオーラを放つRB-26DETTが鎮座する。それもそのはず、R-zは、530psを発揮するように手が加えられているのだ。
内装は、専用のシートに、トミーカイラのエンブレムが刺繍されたオリジナル品。メーターもアルミ削り出しのパネルに、シフトアップポイントを表示するランプ、トミーカイラオリジナルデジタルスピードメーターも装着される。
シフトノブもアルミ削り出し。トップエンドには、七宝焼のエンブレムが埋め込まれよりドライバーをスピードの世界に誘う。
ボンネットを開ければ、100ccのボアアップ、専用クランクシャフト、専用タービンを採用し、ただパワーをあげるのではなく、精度をあげエンジン本来の出力を発揮させるためのチューニングが施されている。
高出力を受け止める足回りに関しても、ビルシュタインに、F1でも採用される鍛造マグネシウム製19インチホイールの“PRO R”を装着し、バネした重量の軽量化を実現。ブレーキは、AP Racing製の6ポットキャリパーと、ローターがセットされる。
トミーカイラの言葉を借りるなら、『本来ならこうであったろう硬派なスタイリングとパワー』に心奪われてしまった中の一人が現オーナーだ。
雑誌で目にしてからトミーカイラ Rシリーズが欲しくなり探し始めた。たまたま近くで見つけたトミーカイラ Rシリーズは、数十台しか生産されていなかった最上位モデルのTommykaira R-z。躊躇うことなく、飛びついたそうだ。
憧れの1台とのカーライフは一体どのようなモノだったのか。
「車検とか整備に出す以外でほとんど乗っていません。約15年持って、走行距離は2000kmぐらいですかね」
と語るオーナーの言葉通り、オドメータは、僅かに20,910kmを指す。
走るために生まれたはずの1台。しかし、東北の地で乗れる期間も限られ、天気が良く気持ちよく走れる日は決して多くはなかったのかもしれない。
それでもディーラーで定期点検を受けナンバーも切らしていなかったのは、いつでも走りに行ける準備を整え、乗ることを楽しむために所有しているというオーナーの気概が伺える。
僅か十数台という生産台数。
走行距離も僅か20,000km台、さらに、R-zの状態から一切モディファイも行われず、オリジナルコンディションをキープする希少な1台となる。