1982 Ferrari 512 BBi
- 4,943ccの“ボクサー12”を搭載
- ボッシュ製Kジェトロニック・インジェクションを採用
- 365/512シリーズの最終進化バージョン
- 生産台数は1,007台
- 元・松田コレクション保有車両
エンツォ・フェラーリは1964年にフォー ミュラ1カー用に最初の180°バンク角(いわゆる水平対向に近いフラットな形状)を持つ V型12気筒エンジン(ボクサー 12、またはフ ラット12と呼ばれる)を開発しているが、ス トリートカー用に180°バンク角を持つV型12 気筒エンジンが搭載されたのは1971年のことだった。
ピニンファリーナがデザインしたミッド シップ・レイアウトに対応するスカリエッ ティ製の流麗なフォルムのボディを纏った365GT4 BBはトリノ・オートショーで発表さ れ、それまでのラダーフレームではなく、ス ペースフレームのテクノロジーを応用したト ラス構造のフレームを持った、フェラーリの 新時代を感じさせるフラッグシップモデルとして大きく注目を集めたのである。
内部構造と一部の外部パネルはスチール製 だったが、ドアやノーズセクション、そして テールセクションはアルミニウム製で、ボデ ィ下部のセクションには新たにグラスファイ バーが採用された。エンジンはドライサンプ 化されドライバーの後ろにミッドシップ・レ イアウトで搭載し、ラジエーターは小さなフ ロントトランクの前に配置されている。
1976年 に は365GT4 BBの4,390ccか ら 4,943 ccへと排気量を拡大した512BBが登 場。さらに1981年には年々強化される排気 ガス規制をクリアするために、ボッシュ Kジ ェトロニック・インジェクションを採用した 512BBiをフランクフルト・ショーで発表し た。 512BBiは1981年から1984年までの間に1,007 台が製造されたが、モデルが製造中止 になった際、ボディの製造統括を務めたセル ジオ・スカリエッティは「BBiはすべてを手 作りした最後のフェラーリだった」と悲しげ に呟いたと言われている。
出品車は世界的なフェラーリ・コレクター として知られる松田コレクションがかつて保 有(512BBiは計4台保有していたとされる) していたもので、ロッソコルサのエクステリ アにタンのインテリアという上品な組み合わ せ。コンディションは全体的に良好に保たれ ており、インジェクション仕様ならではのエ ンジン始動時の扱いやすさも含めて、ヴィン テージ・フェラーリの入門編としても非常に 適した1台だと言える。