1974 Volkswagen Karman Ghia
- ヤナセ自動車正規輸入個体
- 1974年の最終型
- シリーズ最大排気量エンジン
- 限りなくオリジナルに近い状態
車両解説
●ヤナセ自動車で正規輸入された最終型
この「フォルクスワーゲン カルマンギア」は、輸入車輸入代理店として長い歴史を持つ「ヤナセ自動車」によって正規ディーラー販売された1974年式の個体。
74年式は最終型であり、最も完成度が高いモデルであるため、愛好家からの人気が高い。
リアに搭載される「水平対向4気筒の空冷OHVエンジン」は、シリーズ最大の排気量1588ccに設定されており、最高出力は50psを発生する。最高速度も140km となっており、現在の交通状況の中でも問題なく走らせられるスペックだといえるだろう。
また安全基準に合わせた大型バンパー、4本スポークステアリング、トリップカウンターが付いたメーターなど、最終型の特徴はオリジナルのまま維持されている。
内外装も概ね状態は良好。もちろんエンジンも快調に始動することから、しっかりとしたメンテナンスがされていた個体であることが窺える。
●独の精巧さと伊の芸術性の融合
カルマンギアの最大の魅力は、なんといってもその美しいボディデザインである。
フォルクスワーゲンの歴史は、戦前ドイツの国民車構想から始まる。高速航行とそれに伴う堅牢製が求められた国民車は、フェリディナンド・ポルシェによって、「ビートル」として実現した。ベストセラー大衆車の完成により勢いづいた同社は、一歩進んだスペシャリティーカーの開発に乗り出す。
開発初期、プロトタイプのデザインはカルマン社が担当。しかしフォルクスワーゲンの首脳陣を満足させるものを提示できなかった。そこでカルマン社は、友人だったイタリアの老舗カロッツェリア「ギア社」のルイジセグレにデザインを依頼。フラッグシップカー計画は独伊合作の一大プロジェクトへとシフトしていく。そして1953年、ギア社によってプロトタイプデザインが完成。これを見たワーゲンの首脳陣はそのあまりの美しさに舌を巻き、市販化を即決したのだった。
こうして誕生したカルマンギアは、信頼性の高い設計と、時代の先をいくデザイン性の高さにより、当時の若者から絶大な支持を獲得した。
●”乗れる”クラシックカー
カルマンギアのもう一つの魅力は、クラシックカーの中でも特に維持が容易であるとされている点だ。
カルマンギアはパワートレインやバックボーン・プラットフォームシャーシ、エンジンまで、世界中で大量に生産されたタイプ1ビートルと共通構造を持つ。そのためパーツの入手性が非常に高く、ファンの間でも”乗れる”クラシックカーとして高い人気を得ているのである。
現代の自動車にはない、その時代を象徴する美しさを放つクラシックカー。それはもちろん、”走らない”ことで永遠の命を手に入れることができる。しかし、やはり自動車がもたらす至高の喜びは、エンジンの息吹を感じ、愛車との対話を楽しむことではないだろうか?
その喜びは、古き良き時代を追体験することができる”乗れる”クラシックカーとして、この「カルマンギア」が改めて味合わせてくれるだろう。